自宅を売却する時に注意する5つのポイント|不動産鑑定士が教えます
自宅の売却を経験したことのある人はあまり多くはないと思います。
初めてのことであれば、色々と不安に思うことが出てくるのは当然のことです。
ここでは自宅を売却するときに気を付けたいことを確認していきます。
目次
自宅の売却完了までの取引の流れ
自宅を売却しようと思ってから、売却完了までの取引の流れを知っておきましょう。
一般的な取引は次のような流れで行われます。
1.不動産会社を探す。
☆不動産会社にも様々なタイプがあります。
売却したい自宅の査定依頼
2.不動産会社と仲介の契約を結ぶ。
☆契約の種類
☆売り出し価格の設定
3.内覧・交渉などの売買活動を行う。
☆内覧の準備
☆リフォーム等
4.買主との間で売買契約を締結する。
☆契約書の内容
5.代金受領と自宅の引き渡し
☆取引の完了
自宅を売却するときに気を付けること
自宅売却完了に至るまでに多くの手順が必要なことが分かりました。
気を付けなければならないことを、それぞれの手順に絡めて説明します。
- 不動産会社を探す
- 不動産会社と仲介の契約を結ぶ
- 内覧・交渉などの売買活動を行う
- 買主との間で売買契約を締結する
- 代金受領と自宅の引き渡し
不動産会社を探す
不動産会社も様々
賃貸に強い、買取に強いなど得意分野があったりします。
自宅の売却をお願いするのですから、売買の仲介に強い会社を選ぶようにしましょう。
インターネットなどで会社のホームページや口コミなどを調べることで、ある程度の情報を事前に得ることもできます。
査定の依頼で気を付けること
複数の会社に査定の依頼をしましょう。
不動産会社の特色や考え方を知る機会にもなりますので、面倒かもしれませんが、
査定の依頼は2社以上できれば4~5社には出しましょう。
査定額の意味
不動産会社が提示してくる査定額は、その会社が査定した売却予想額で、その査定額での売却を保証するものではありません。
なかにはお客様の気を引くために、高めの査定額を提示する会社もありますので気をつけましょう。
相場を把握しておきましょう
査定額の提示を受ける前に、ご自身でも売買価格の相場を把握しておきましょう。
売買希望価格は不動産会社の広告などから知ることができます。
また、実際の売買価格もインターネットなどからある程度把握できるようになっています。
相場を知っておくことで提示された査定額の根拠などについて踏み込んだ質問ができ、どのような回答を営業マンがするのかを見ることができます。
不動産会社と仲介の契約を結ぶ
契約の種類に気を付けましょう
複数の不動産会社から自宅売却のパートナーとなる会社を選びます。
このとき仲介の契約には3種類あることを知っておきましょう。
専属専任媒介契約、専任媒介契約及び一般媒介契約ですが、それぞれに長所、短所がありますので、一概にどの契約がいいということはありません。
ご自身の納得のいく契約形態を選択しましょう。
売り出し価格の設定に気を付けましょう
売り出し価格は、売買市場に物件の情報を流す際に最も注目される項目です。
出来る限り高く売りたいということであれば、売却が決まるまでに時間がかかることも覚悟しなければなりません。
当然、相場よりも安ければ安いほど注目はされ、売買も早く決まる可能性が高まります。
内覧・交渉などの売買活動を行う
内覧の準備
家の片付け
自宅の売却なので、基本的に内覧は求められることになります。
買主の印象によって、売買金額に大きな影響を与えることがあります。
家の中を片づけておくのは当然ですが、特に台所、洗面所、風呂場など水廻りの掃除は念入りに行ってください。掃除のプロに依頼しても良いと思います。
自宅の長所の整理をしておきましょう
仲介の営業マンからも伝わっていることもあるかと思いますが、実際に住んでいる方の言葉は重みがあります。
内覧の際に長所のアピールをしましょう。
例えば窓からの眺望が良い、安くて品揃えが豊富なスーパーが近くにある、公園が近くて子供を遊ばせるのにちょうどよいなど、買主にとってプラスになることがあれば、嫌みにならない程度にアピールしましょう。
買主も真剣に検討しているのであれば、決して嫌がることはありません。
リフォーム等
自宅の売却に際し、リフォームをしておく必要があるかについては考えどころです。
住宅の購入を希望する方の中には自分の好きなようにリフォームをしたいと考える方が少なからずいらっしゃいます。
売却したい住宅の状態にも依りますが、リフォームが必要な状態であれば、その分を値引きで対応するという交渉方法もあります。
また、マンション売却には関係ありませんが、戸建住宅ですと建物を取り壊すことを前提に購入を検討される方もいらっしゃいます。
建物の価値の捉え方で、買い目線価格と売り目線価格に大きな乖離が生じるところです。
売主として建物の価値を見たい気持ちもよく分かりますが、建物の築年、状態などから建物の価値をゼロ又は取り壊し費用分値引きということも検討しなければならない局面もあるかもしれません。
リフォーム、解体などの対応については、担当の営業マンとも相談をしてみましょう。
買主との間で売買契約を締結する
契約書の内容
買主との売買交渉も完了し、双方合意できたら、いよいよ売買契約の締結となります。
契約書はしっかりと読み込み、交渉で決められた契約事項が記載されているかどうかを確認しましょう。
瑕疵担保責任については、特に注意することが必要です。
瑕疵担保責任とは、引き渡し完了後であっても物件に隠れたる瑕疵(不具合)があれば売主がその責任を負うというものです。この瑕疵担保責任を負う期間は長ければ長いほど売主にとっては不利なものになります。
代金受領と自宅の引き渡し
取引の完了
売買代金、手付金があれば売買代金の残額の受領を確認して、自宅を買主に引き渡して売買取引が完了となります。
このときまでに公租公課等の清算、登記関係の手続き、買主へ渡す書類の整理など多くの処理事項がありますので、しっかりと行っておきましょう。
その他気をつけること
自宅売却のためにかかる費用
自宅を売却するためにかかる費用として次のものがあります。
意外と費用がかかりますので、これらを意識して売買金額を検討しましょう。
- 仲介手数料
- 印紙代
- 抵当権抹消費用(抵当権の登記がある場合)
- 司法書士報酬(住所変更・抵当権を消す必要がある場合)
- 金融機関への手数料(住宅ローンの一括返済など)
- 譲渡所得にかかる税金(かからないケースもあります。)
- 引越費用
- ハウスクリーニング費用
- リフォーム費用(必要な場合)
この中で金額が大きなものは、仲介手数料、引越費用、リフォーム費用です。
税金については、譲渡所得が3,000万円を超えると発生します。
仲介手数料
取引価格×3%+6万円に消費税を乗じた金額となります。この金額は上限ですので、安くしてくれる会社もあります。
引越費用
自宅の転居に伴うもので、引越業者から見積もりを取得することで把握可能です。
リフォーム費用
リフォーム等を行ったときに発生する費用です。どこまでやるかで費用は大きく異なります。
譲渡所得にかかる税金
譲渡所得は、売買金額とは異なります。
売却価格-(購入価格+取得費用+売却費用)で計算された金額です。
取得費用がわからないときは、売却代金の5%となります。
そのため、譲渡所得にかかる所得税が高額になる場合があるので、注意が必要です。
不動産を取得した時の契約書等の資料は必ず保管しておくようにしましょう。
また、3,000万円を超える場合には、「買い替えの特例」の適用可否についても検討しましょう。
まとめ:自宅売却は仲介業者・営業マン任せにしない
以上、自宅の売却完了までの取引の流れの中で、気を付けることを挙げてみました。
納得できる売却を行うためには、仲介会社、営業マン任せにしてはいけません。
不動産会社にとっては、営業費用をかけずに早く売却できるほうが、利益が大きくなるため安易に売り出し価格を下げようとしたり、安易に値引き提案を行ってくることがあります。
また、仲介業者の中には、仲介手数料を売り手と買い手の両方からもらえる、いわゆる「両手」と言われる取引に持ち込むために、自社のお客様にしか紹介しない。といった悪質な業者もあります。
このような仲介業者や営業マンを自宅売却のパートナーに選ばないように気を付けることが最も大切なことかもしれません。