売買・等価交換

相続同族会社間、会社役員とその会社、親族間での売買・等価交換・贈与の際には、不動産の時価の把握が必要であり、鑑定評価書は有効な資料になります。

不動産の売買

同族会社間、関連会社間、会社役員とその会社、親族間で不動産の売買を行う場合

具体的例

  • 社長やその会社の役員が所有する不動産を会社へ売却する場合。
  • 会社所有の不動産を社長やその会社の役員(社長の子である2代目社長や次期社長)が買い取る場合。
  • 会社が所有する不動産(社宅等)を会社の従業員に売却する場合。
  • 会社の社長が、会社が所有する建物の敷地として貸している土地を、資産管理会社等に売却する場合。

上記のような同族会社間で不動産の取引を行う場合、その価格は時価によるものとされています。
一方で、同族会社間での取引では、

  • 社長としては会社に高く買ってもらいたい。
  • 会社役員や従業員としては会社から安く買いたい。
  • 今期の利益を相殺したいので、安く売却し、損益を出したい。

といった様々な事情が介在します。
このような事情から、同族会社間での取引の場合、極端に高い価格か低い価格で売買したいと考えるため、取引価格が「時価」から乖離しがちです。
そのため、取引価格が恣意的になりやすく、税務当局からのチェックも厳しくなっており、売買価格の信憑性、妥当性について不正がないか、調査対象となるケースが多くなります。
それでは、「時価」とはどのように算出すればよいのでしょうか。

時価の算出

前記でも述べましたが、同族会社間や法人と社長(役員)間で行われる不動産取引における取引価格は時価によるものとされています。

こういった同族会社間等の取引でよく見られるのは、以下の方法で算出した価格です。

①相続税路線価評価に基づく価格
(公示価格の約80%)
→相続税路線価を0.8で割り戻した価格
②固定資産税評価額に基づく価格
(公示価格の約70%)

しかし、このような価格は不動産の課税のための評価額であり、地価が二極化している昨今の不動産情勢の中では、これらの価格を時価とするのにはリスクが大きいと思われます。
また、上記の方法では収益性を反映することができないため、収益物件の評価には全く適しておらず、時価とは大きく乖離した価格が算出されてしまうことになります。
ここで同族会社間等での売買でポイントとなるのは「低額譲渡」です。

低額譲渡

「低額譲渡」とは売却価額が時価の2分の1未満の場合の収入金額は、実際の売買価額ではなく時価とみなされるという規定があります。

【例】(低額譲渡とみなされる場合)


1.会社の帳簿価額が5,000万円の土地を社長に2,000万円で売却した場合

(低額譲渡とみなされる場合)

社長
社長
3,000万円について所得税が課税される。
会社
会社
時価で譲渡したものとして計算し、3,000万円は賞与とする。法人税が課税される。

2.社長保有の5,000万円の土地を会社に2,000万円で売却した場合

社長
社長
3,000万円について時価で売却したものとしてみなし譲渡所得税が課税される。
会社
会社
財産の取得価格は時価となり、時価と売買価格の差額は受贈益になり、法人税が課税される。

3.親が保有する5,000万円の土地を子に2,000万円で売却した場合

親
譲渡損失が発生した場合でも、その損失はなかったものとされます。
子
時価と取引価格の差額分を親から贈与されたと考えられるため、その差額部分に贈与税が発生します。

ここで「低額譲渡」とみなされるか否かのポイントは、不動産を取得した時の価格ではなく、その不動産の時価が適切に把握されているかどうかになります。
このような取引については、税務当局から厳しい調査を受けることが多く、この取引価格が適正な時価であることを税務当局に立証する必要が生じます。
税務当局に対しては、不動産業者が発行しているいわゆる「査定書」等による「時価は○○円です」という相場感覚的な説明では立証できません。

このような場合には、不動産の時価を評価できる不動産の価格の専門家である不動産鑑定士による不動産鑑定評価を活用すべきです。
なつみ不動産鑑定では、税務当局への立証もスムーズに行うことが可能です。

不動産鑑定士による不動産鑑定評価書により不動産の「時価」を評価しておくと、低額譲渡の限度割合の価格についても把握することができ、売買基準がわかるため、税務当局から調査されることも防げます。
後々に思わぬ課税をされ後悔しない為には、多少のコストがかかっても不動産鑑定評価を活用すべきであると思われます。

一般の不動産取引の売買価格についての評価

「思いどおりの値がつけば手放したい」「この売買価格は妥当なのか・・・?」「この不動産の実際の価格はいくらなのか?」など不動産の価格でお悩みのときは、不動産鑑定士にご相談ください。取引にあたって、一番の心配事である取引価格について、不動産の適正な時価を把握するために、不動産鑑定士をご活用ください。
なつみ不動産鑑定では、一般個人の方向けにリーズナブルな価格等調査を行っております。
ぜひ一度ご相談ください。

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