初心者でも分かる登記簿の見方。土地・建物それぞれを実例で解説
「登記簿」は皆さんご覧になられたことはございますか。
「登記簿」は「全部事項証明書」とも言いますが、土地や建物の所有権や所有権以外の権利について登記されている公的な資料です。
法務局に行き、所定の収入印紙を支払えば、誰でも手に入れることができます。
最近はインターネットで入手することも可能になり、便利になりました。
「登記簿」は、不動産に関わる仕事をしている者にとっては、日常的に触れる機会の多い資料なので見慣れていますが、初めてご覧になられた方にとっては、意外に理解しにくい資料であると思います。
今回は、実際の登記簿を参考にしながら、登記簿の見方を学んでいきましょう。
土地と建物で異なる登記簿。見方をしっかり覚えよう
【土地の登記簿の場合】
まず土地の登記簿についてお話いたします。
こちらが実際の土地の登記簿になります。
(画像をクリックすると、拡大して表示されます。)
登記簿は表題部、権利部(甲区)、権利部(乙区)に分かれています。
表題には、その土地の所在(堺市堺区四条通)、①地番、②地目、③地積が記載されています。
②地目とは、大まかには「その土地が何に利用されているか」によって分かれています。
家や店舗などの建物や構築物の敷地として利用されている場合は「宅地」、農地として利用されている場合には「田」や「畑」、資材置場や駐車場などの「雑種地」、その他には「山林」「ため池」「公衆用道路」などなど。様々な種類があります。
自宅を建てるために土地を購入する場合には、地目が「宅地」になっていれば、建物を建築する敷地として、登記簿上は大きな問題はないと考えてよいでしょう。
次に権利部(甲区)とは、その土地の所有権に関する事項の記載となっています。
サンプルでは、順位番号1に所有権移転、昭和56年1月〇日、原因昭和55年11月〇日相続、所有者A、となっています。
これは、
Aさんが昭和55年11月〇日にこの土地を相続し、昭和56年1月〇日に所有権移転の登記を行った。
という記載になります。
また、順位番号2に所有権移転、平成18年6月〇日、原因平成12年2月〇日相続、所有者B、となっています。
これは、
Bさんが平成12年2月〇日にこの土地を前所有者であるAさんから相続し、平成18年6月〇日に所有権移転の登記を行った。
という記載になります。
登記簿から、この土地は2回にわたって、相続により、所有権が移転していることがわかります。
【建物の登記簿の場合】
次に建物の登記簿についてです。
こちらが実際の建物の登記簿になります。
(画像をクリックすると、拡大して表示されます。)
建物の登記簿は、土地と同じように表題部、権利部(甲区)、権利部(乙区)に分かれています。
表題には、その建物の所在(堺市堺区四条通)、家屋番号、①種類、②構造、③床面積が記載されています。
また、建物では「原因及びその日付」で新築年月日がわかるようになっています。
①種類とは、建物の種類が記載されています。
居住用であれば「居宅」、店舗であれば「店舗」、そのほかには「事務所」や「駐車場」などが記載されます。
複合的な造りになっている場合は、「居宅・駐車場」や「店舗・事務所・駐車場」のように記載されます。
②構造とは、建物の主な構造が記載されます。
サンプルのような「木造スレート葺2階建」であれば、木造で、屋根はスレート葺、階層は2階建であるとわかります。
③床面積は各階ごとに記載されます。
それぞれの階の面積を合計すると延床面積がわかります。
一番右端の「原因及びその日付」には、平成8年5月〇日新築とあります。
ここでこの建物が建てられた日付がわかります。
次に権利部(甲区)とは、その建物の所有権に関する事項の記載となっています。
サンプルでは、順位番号1に所有権保存、平成8年5月〇日、所有者Cとあり、所有者Cがこの建物を新築し、平成8年5月〇日に所有権保存登記を行ったということがわかります。
所有権保存とは、建物を新築した際に、「この建物は私の建物である」という所有権を主張するためにする登記です。
土地や建物は所有者が誰なのかわかりにくいため、このように登記をし、所有権を他者に対して対抗します。
登記簿から、
この建物は「居宅」として利用されており、構造は「木造」で、屋根は「スレート葺」、階層は「2階建」であり、
1階は78.75㎡、2階は80.67㎡、延床面積は、159.42㎡で、平成8年5月〇日に新築され、Cさんが所有者である。
ということがわかります。
重要な抵当権については特に念入りにチェック
次は、「抵当権」についてご説明したいと思います。
抵当権は、融資を受ける際に大切な事項となります。
登記簿できちんと記載されているか確認しましょう。
【抵当権】
まず登記簿では、抵当権は権利部(乙区)に記載されています。
権利部(乙区)は、所有権以外の権利に関する事項が記載されており、所有権以外の権利には、「借地権」や「地役権」などのほか「抵当権」があげられます。
抵当権とは、自宅を購入するために、住宅ローンなど、金融機関や他人からお金を借りる場合に、不動産に設定する担保権のことです。
不動産に抵当権が設定されると、借り入れたお金の返済が滞った場合、抵当権が実行され、競売にかけられることがあります。
一方、抵当権が設定されている不動産でも自由に売買することが可能です。
抵当権者の承諾も必要ありません。
サンプルの場合、順位番号1、抵当権設定、平成8年6月〇日、原因平成8年6月〇日金銭消費貸借同日設定、債権額金〇〇〇万円・・・・と記載されています。
これで、
平成8年6月〇日に、抵当権者(ここでは住宅金融公庫)から〇〇〇万円をCさんが借り入れた。
ということがわかります。
ここで、皆さんもお気づきかと思いますが、この抵当権設定の文字には下線が引かれています。
これは、次のサンプルを見ていただくとわかるかと思いますが、返済が完了し、抵当権が抹消されたことによるものです。
サンプルでは、順位番号2、1番抵当権抹消、平成23年6月〇日、原因平成23年6月〇日弁済となっています。
借入金の返済が終わると、このように抵当権は抹消されます。
皆さんも借入金の返済が完了しましたら、きちんと抵当権の抹消を確認しましょう。
なお、抵当権は借入金の残高が例え1円でも残っていると、その不動産の全てに対して実行可能となっていますので、注意してください。
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