相続税が安くなる方法。『広大地』は減額が見込める不動産資産
皆さんは、相続税がどのように課税されるかご存知でしょうか?
詳細な相続税の計算方法はいろいろなホームページなどで紹介されていますので、ご存知の方も多いと思います。
ここでは、具体的に、相続税について、「どのような方法をとれば安くなるのか?!」
を、検証しながらご説明したいと思います。
そもそも相続税は、相続が発生した時点の財産について課税されますので、「安くする」ことは今さら不可能であるように思われます。
もちろん、相続財産を隠したり、不当に低く見積もって申告することは脱税になり、絶対にしてはいけません。
では、どのようにすれば相続税は安くなるのでしょうか?
相続資産とされる代表的な3種類の資産
相続財産の中には、様々な資産があり、代表的なものには、①預貯金、②株式、③不動産などがあります。
①預貯金
預貯金は、現金そのものなので、相続の際にはそのままの金額で課税されます。
相続税対策を講じることは不可能です。
②株式
一般的に市場で公開されている株式は、すぐに時価を把握することが可能ですので、現金と同様に節税対策は難しいです。
また、事業などで保有されている非公開株については、別の機会にご紹介したいと思います。
③不動産
不動産は相続税評価においては、時価によるものとされています。
相続税対策を講じることが可能なのは、ズバリ!不動産なのです。
不動産の相続税評価は、前回の「不動産の評価額について」の記事でもご紹介したように、原則「時価による」とされていますが、この「時価」が非常に難しいのです。
不動産に係る相続税の評価において、一般的に税理士の方が評価を行うときは、時価評価の画一性や迅速性、簡便性のために国税庁が定めた「財産評価基本通達」で評価を行います。
しかし、この「財産評価基本通達」の不動産評価では、不動産の個別性を反映することが難しく、画一的な評価しかできないのです。
※詳しくは不動産豆知識「不動産の評価額」をご覧ください。
不動産の中でも相続税の減額が見込める『広大地』とは?
そして、数ある不動産の中でも、もっとも大幅な相続税の減額が見込めるのが「広大地」なのです。
この「広大地」・・・最近、話題に上ることが多くなりましたので、皆さんも一度はお聞きになられたことがあるかもしれません。
「広大地」に判定されるか否かで、相続税は大きく変わってきます。
では、「広大地」とはどのような土地をいうのでしょうか?
その名の通り、「広大地」とは、広い土地のことを言います。
国税庁では、「広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で、都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるものをいいます。
ただし、大規模工場用地に該当するもの及び中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているものは除きます。」と規定しています。
そのまま読んでみても非常に難解であり、一般の方には理解しづらいと思われます。
広大地の判定には様々な要件があり、一般の方が「これは広大地です」と判断するにはハードルが高く、税理士の方でさえも、不動産については専門ではないので、広大地の判定は極めて困難であると思われます。
それでも、相続税が大幅に安くなる「広大地」!
ぜひ皆さんにも利用していただきたいと思います。
そこで、誰でもわかる広大地判定の簡単なポイントを3つご紹介したいと思います。
①500㎡以上の土地(建物が建っていても可!)
②大規模な工場が存する工業専用地域でないこと。
③周辺にマンションや店舗などが建ち並んでいる地域でないこと。
この3つです。とっても簡単です。
このポイントに当てはまる土地であれば、「広大地」に判定される可能性があります。
詳しくは専門家(不動産鑑定士等)にご相談されることをお勧めいたします。
それでは、「広大地」に判定されると、どれくらい評価額が下がるのでしょうか?
【例】
路線価が100,000円/㎡となっている2,000㎡の土地
①そのままの評価の場合
100,000円/㎡×2,000㎡=200,000,000円
②広大地に該当した場合
100,000円/㎡×0.5(※広大地補正率)×2,000㎡=100,000,000円
※2,000㎡の場合の計算方法:0.6-0.05×2,000㎡÷1,000㎡=0.5
広大地評価を利用することによって、評価額が半額になりました!
広大地補正率は地積に応じて決められており、下記のようになっています。
500㎡:0.575(42.5%割引)
1,000㎡:0.55(45%割引)
2,000㎡:0.50(50%割引)
3,000㎡:0.45(55%割引)
4,000㎡:0.40(60%割引)
5,000㎡以上:0.35(65%割引)
このように最大で65%も評価額が下がるのです。
「ムダな相続税は払わない」ことを重要視しよう
しかし・・・
利用できるとすごくお得な「広大地」は、絶大な節税効果を発揮しますが、そのぶん税務署からの厳しい審査や指摘が多くなることも事実です。
ですので、何でもかんでも「広大地」に判定することはできませんし、申告後の対応も大切です。
しっかりとした専門家に相談されることが一番の近道だと思います。
ここで皆さんにぜひ知っていただきたいのは、
「相続税を安くする」のではなく、「ムダな相続税を払わない」ことが重要だということです。
「広大地」として評価できるにも関わらず、何の手だてもなく評価してしまい、支払う必要のない相続税を納税されている方がいらっしゃるのも事実です。
500㎡以上の土地をお持ちの方は、ぜひ、この「広大地」について、知っておいていただきたいと思います。