農地ってどんな土地?農地は家を建てられないの?
皆さん こんにちは。
皆さんは、農地と聞くとどのような土地を思い浮かべるでしょうか?
田んぼや畑、果樹園など、農地にも様々な種類がありますね。
このような農地は売買が制限されていたり、建物の建築が不可となっていたり、通常の宅地の扱いとは大きく異なります。
今回は、農地について、皆さんにお話したいと思います。
目次
農地とは?
まず、農地とは、以下のような土地のことを言います。
・農地法上、農地とは「耕作の目的に供されている土地」のことをいう。
・耕作とは土地に労費を加え、管理を行って作物を栽培することをいう。
これらは、必ずしも登記簿上の地目によらないことが重要です!
登記簿上の地目とは、登記簿にはその土地の種別が記録されています。
建物を建てるための「宅地」や資材置場や駐車場などの「雑種地」、「山林」「農地」などがあります。
以前にご紹介した登記簿の見方もご参照ください。
(参考)初心者でも分かる登記簿の見方
そもそも農地の定義は、登記簿上の地目ではなく、現在の状態で判断されるものとされています。
農地法では、「耕作の目的に供される土地」を農地と定義されています。
よって、農地とは農地法の適用を受ける土地になります。
これは客観的に見て、農地と判断される土地であれば、登記簿上の地目が何であれ、農地として使用している土地は農地法でいう農地として扱われるということになります。
要は、宅地を耕作し、農業を続けていれば、その土地は農地となるわけです。
農地は勝手に農地以外として利用できない!
農地は、許可なく、農地を農地以外の目的で使用することはできません。
なので、農地に勝手に建物を建てて、農地ではないと宣言することはできません。
しかも、農地を勝手に農地以外のものにしてしまうことは、違法行為となり、処罰の対象になります。
では、家庭菜園に使っている庭は農地になるかというと、これは農地にはなりません。
家庭菜園などは一時的な利用とみなされますし、宅地としての利用より農地としての利用が少ない場合は非農地といえるからです。
庭先に造った家庭菜園は、農地法の規制は受けません。
また、採草放牧地、つまり牛などを育てる為の草を採取する土地や放牧に使う土地も、農地法の上では農地と同様にみなされます。
つまり、農地とそれ以外の土地を区別する場合に最も大きな境界線となるのが、農地法の適用を受ける土地か否かということになります。
農地は自由に売買できない!
自分が住んでいる土地は、通常であれば自分の意思で自由に売却したり他人に貸したりできますし、建物を建てるのも自由です。
ですが、農地は自由に売却したり賃借したりすることはできません。
農地を農地として売買する時は、農地法第3条による許可が必要
農地法では、農地を耕作目的で売買または賃借する場合には、一定の要件を満たし、原則として農業委員会または知事の許可を受ける必要があります。
ちなみに許可を受けないで行った売買や賃借等の行為は無効となります。
農地は、自分の所有する不動産でありながら、自由にできないのです。
では、農地を買い受けようとする個人が、農業に参入する場合の要件とは、どのようなものがあるのでしょうか。
①農地のすべてを効率的に利用すること。
→機械や労働力等を適切に利用するための営農計画を持っていること
②必要な農作業に常時従事すること。
→原則年間150日以上
③一定の面積を経営すること。
→農地取得後の農地面積の合計が、原則50a(北海道は2ha)以上であることが必要。
④周辺の農地利用に支障がないこと。
→水利調整に参加しない 無農薬栽培の取組が行われている地域で農薬を使用するなどの行為をしないこと。
このような要件を満たし、農業委員会または知事の許可を受けて、初めて農地を農地として売買することが可能となります。
農地を転用するときは、農地法第4条または第5条の許可が必要
農地の転用とは、農地を農地以外のものにすることを言います。農地で農業するのを止めて、住宅を建てるための宅地にする場合などがこれにあたります。
このとき、所有者自らが転用を行うときは第4条の許可、農地の転用に伴って権利移転や賃借権等の設定を行う場合は第5条の許可が必要となります。
農地の転用については、その農地が市街化調整区域にあるのか、市街化区域にあるのかによって、手続きが異なります。また、市町村によっても異なりますので、今回は堺市で行う場合の第4条の手続きをご紹介いたします。
【農地が市街化調整区域にある場合】
市街化調整区域内の農地を転用する場合は、知事の許可が必要となります。
まずは、農業委員会での議決を得て知事に意見書を提出し、知事が農業会議に諮問し、意見を聞いたうえで許可することになります。
さらに、許可申請は、農地法の転用許可基準に適合し、かつ、関係する様々な法令とも整合していなくてはなりません。
なお、転用する農地が、4haを超える場合は、農林水産大臣の許可となり、2haを超える場合は、農林水産大臣への協議が必要です。
市街化調整区域はそもそも宅地の開発を抑制する地域となっていますので、農地を宅地等へ転用することは、非常に厳しい要件が課せられています。
【農地が市街化区域にある場合】
書類審査などにより問題のない場合は、事務局長が専決処分し、後日、農地部会に報告されます。しかし、現に紛争が生じている場合等は、農業委員会農地部会で審議し、処理を行います。農業委員会は、届出書の提出があった場合において、当該届出を受理したときはその旨を、当該届出を受理しなかったときはその旨及びその理由を、遅滞なく、当該届出をした者に書面で通知しなければならない。とされています。
このように、農地は所有者のものでありながら、売買や賃貸借を自由に行えないという制約があります。
勝手に売買を行ったり、建物を建てたりすることはできませんので、注意が必要です。
農地を売買したり、農地に家を建てたり、農地を相続したりする際には、ぜひ専門家へご相談することをお勧めいたします。