これは「公道」それとも「私道」?家を建てる前に知っておきたい道路の知識
道路には色々な種類があることをご存知ですか?
車で走ったり、散歩したりしている限りでは、道路の種類なんて普段意識しないですよね。
しかし、建物を建てる、不動産を売るという場合、道路との関係を意識せざるを得なくなります。
というのも、建物を建築するためには、「道路に2m以上接道していること」が必須条件となっており、建物の建築と道路には深い関わりがあるのです。
一般的に公道には「国道」「府(県)道」「市道」「町道」などのほか、「市管理道路」などがあります。
そのほかには「私道」「位置指定道路」「開発道路」「里道」「農道」などがあります。
では、どのような道路に接道していなければならないのでしょうか。
先ほどあげさせていただいた「国道」や「私道」といった道路には、それぞれ建築基準法上の取扱いがあり、建築基準法の道路に該当するか否か、によって建物の建築が可能か不可能かが決まります。
まず、幅員(道路の幅のこと)が4m以上ある公道は、一般的には建築基準法上の道路であり、このような道路に2m以上接道している場合には、建物の建築はよほどのことがない限り、問題はないと言えます。
接道している道路が市道であるかどうかは、堺市であれば堺市役所の土木部の路政課で確認できます。
こちらはインターネットでも確認できるので、便利です。
堺市土木部路政課
https:/e-map.city.sakai.lg.jp/sakai/G0303G?mid=1
一方、幅員が4m以上ない道路で、昔から建物が建ち並んでおり、特定行政庁が指定した道路は、建築基準法上の「2項道路」と呼ばれます。
その場合は道路の中心から両側に2mとなるラインまで後退しなければなりません。
片側が河川などの場合で、一方後退となっている場合は片側のみで道路の幅員が4mとなるラインまで後退が必要です。
一般的に「セットバック」と言われます。
セットバックが必要な場合は、セットバックした土地については、建物を建築することができません。
また、容積率の計算にも含めることができませんので、注意が必要です。
沿道の建物が建て替えの時にそれぞれセットバックすることにより、道路は徐々に拡幅され、4m以上となるようにされています。
私道と隣接する物件の取得の際は注意が必要
「私道」は、個人や企業等が所有している土地で道路として使用している区域のことを言います。
「私道」には様々な種類があり、建築基準法上の道路に該当しないものもあります。
対象となる不動産が「私道」に接道している場合は注意が必要です。
建築基準法上の道路として扱われているか、きちんと調査しましょう。
道路の取扱いについては、堺市であれば市役所の建築安全課の指導係で調査できます。
残念ですが、建築基準法上の道路の取扱いについては、インターネットでの調査はできません。
建築基準法上の道路として認められていない「私道」は一般的に「敷地内通路」やただの「通路」「道」などと呼ばれます。
こういった「敷地内通路」等の建築基準法上の道路に該当しない道路に接道している場合は、他に接道している道路がなければ、建物の建築が不可能であることが多いです。
「私道」はその名の通り私有地であり、その敷地の所有者は「私道」を道路として利用することを廃止したり、売却したりすることができます。
しかし、「私道」であっても建築基準法上の道路として扱われている場合にはできません。
このような「私道」であっても、「位置指定道路」や「開発道路」であれば、建築基準法上の道路に該当します。
なので、これらの道路に接道している場合には、建物の建築が可能です。
「位置指定道路」とは、比較的小規模な建売住宅が建ち並ぶミニ開発された住宅地で、行き止まりの小さな道路を見かけることがありますね。
こういった道路が「位置指定道路」です。幅員は4m以上で、長さも一定の長さまでと決められています。
他にもある、様々な道路の種類
「開発道路」とは、開発許可を得て宅地開発を行った際に作られた道路のことを言います。
これらの「開発道路」と呼ばれる道路は、もともとは開発業者が所有していますが、開発が終わると市町村に移管されるケースが多いです。
市町村に移管され、「市管理道路」になり、そののち「市道」として認定される。という流れになっています。
「里道」や「農道」と呼ばれる道路は、建築基準法上の道路ではありません。
一般的に「里道」は幅員も狭小で、道路として機能していないことが多いのですが、時々、「里道」と「水路」などが一体となって、一見通常の「道路」と何ら変わりなく利用されている場合もあります。
こういった場合でも、実際に市役所に調査に行くと建築基準法上の道路でないことがわかるのですが、見た目では「里道」とはわからないので注意が必要です。
こういった道路のほかに「43条但書道路」という道路があります。
これは、建物を建築する際に接道している道路がない場合の救済措置として特別に認められた道路のことを言います。
「43条但書道路」とは、敷地の周囲の状況や建物の条件により、許可されます。
その条件には、敷地の周囲に公園、緑地、広場などの広い空地があることや、4m以上の農道などの公共の用に供する道路に2m以上接道していること、敷地に建築される建物の用途や規模、構造等に応じて、避難や通行の安全等の目的を達するために十分な幅員を有する道路に準ずるものに接道していること。があります。
これらの条件に合った場合は建物の建築が許可される場合があるので、あきらめずにしっかりと調査することをお勧めします。
まとめ
道路は見ただけでは、それが「公道」なのか「私道」なのか非常にわかりにくいです。
私も不動産鑑定士としていろいろな道路を調査してきましたが、これは一般的な公道だろうと思って市役所に行くと、「里道」であったり、「私道」であったり、建築基準法上の道路として扱いがない場合があり、驚くことがあります。
どう見ても公道だろう。と思っても、一度きちんと調査しておくと安心です。