地代・賃料

賃貸借現在入居している店舗の賃料が何となく高いように思う。
入居しているテナントから賃料の減額請求をされてしまった。
保有している収益不動産の賃料設定が低いように思う。
賃貸マンションの空室がなかなかうまらないのだけれど、どうしたらいいの?
賃料に関するお悩みは様々で、それぞれに特別な事情が含まれています。
なつみ不動産鑑定では、それぞれの物件や権利関係に対応した鑑定評価を行い、適正な賃料を算出いたします。

継続賃料について

賃料は新規賃料と継続賃料(地代・家賃)に分けられます。ここでは、ご相談の多い継続賃料について、述べたいと思います。
一般的に、契約の期間が長期間にわたる場合は、現在の周辺の市場賃料と乖離することが多くなります。
例えば、新築で入居し、その後10年以上経過した場合などは、入居当時は新築で入居しているので、周辺賃料よりはいくぶん高額な賃料設定がなされていた可能性があります。
そうすると、築後10年が経過し、周辺の市場賃料との乖離が大きくなってくることがあります。
ただ、そういった場合でも注意していただきたいのは、当時の契約内容です。
契約内容に、新築時にそのテナントのために何か特殊な設備をつけていたり、特別な配慮がなされていたりした場合は、それらの特殊な事情が反映された賃料設定となっているので、一概に現在の賃料が高額であるとは言えません。
また、継続賃料を求める際の鑑定評価書は、貸主や借主である相手方との交渉の中で必要な資料となります。
そのため、交渉がうまくいかない場合は訴訟へと発展することも考えられ、そのような場合には、求められた継続賃料について、より詳細な説明が必要となります。
このようなことから、継続賃料を求める際には、契約内容や対象不動産の状況等を細かく調査、分析を行うことが重要となります。

このように、継続賃料は、多面的な判断が必要となるので、どうなのかな。と悩んだ場合は、すぐに専門家である不動産鑑定士にご相談されることをおすすめします。
安易に賃料改定を申し出たり、申し出のあった賃料改定を適当に判断したために、後々に訴訟となってしまい、大変な問題に発展しないよう、注意してください。

では、不動産鑑定評価基準における継続賃料とはどのようなものをいうのでしょうか。

不動産鑑定評価基準

不動産鑑定評価基準では、「継続賃料とは、不動産の賃貸借等の継続に係る特定の当事者間において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料をいう。」とされています。 継続賃料は、実際に賃貸借等の契約が交わされており、契約の当事者が特定されていることにその特徴があります。
鑑定評価を行う場合は、次に掲げる事項を総合的に勘案して、継続賃料を決定するものとされています。


  1. ①契約の内容及び契約締結の経緯
  2. ②契約上の経過期間及び残存期間
  3. ③賃料改定の経緯
  4. ④更新料の必要性
  5. ⑤近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における宅地の賃料又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃料、その改定の程度及びそれらの推移、動向
  6. ⑥賃料に占める純賃料の推移、動向
  7. ⑦底地に対する利回りの推移、動向
  8. ⑧公租公課の推移、動向

このような事項を詳細に調査、分析し、鑑定評価手法を用いて継続賃料を求めていきます。

上記においては、それぞれの契約内容やこれまでの契約締結の経緯は非常に重要です。
その他にも契約上の経過期間、残存期間、賃料改定の経緯などを把握します。
そのうえで、周辺の賃料相場や類似不動産の賃料等と比較検討し、現在の賃料がどのような位置づけ(高額であるのか、低額であるか等)にあるのかを精査していきます。

このようなことから、継続賃料の評価にあたっては、単純に周辺の賃料より「高額であるか低額であるか」といったことだけでは判断しきれず、一般の方々には理解しにくいところがあるかと思います。
継続賃料を求める手法には大きく4つの手法があります。


  1. ①差額配分法
  2. ②利回り法
  3. ③スライド法
  4. ④賃貸事例比較法

上記の手法を適用し、かつ当該契約の内容、契約締結の経緯等を総合的に勘案して評価を行います。

【差額配分法】

類似の不動産を現在新規に借りた場合における適正な賃料を求めます。

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求められた現在の適正賃料と、現行賃料との差額を求めます。

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現行賃貸借契約や賃貸物件の状況、貸主と借主の関係等を分析し、配分率を算出します。

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賃料の差額部分を配分率で乗じ、現行賃料に加算もしくは減額します。

現行賃料+{(現行賃料-現在の適正賃料)×配分率}

差額分配法の特徴

差額配分法は、現行賃料(実際実質賃料)と現在の正常実質賃料(≒現在の市場賃料)との差額を配分する手法であり、賃貸借等に供されている対象不動産の用益の増減分を貸主と借主に適正に反映することに着目した手法である。
したがって、差額配分法は、個々の契約内容や契約当事者間の事情を反映することが可能な手法であると言えます。

【利回り法】

基礎価格(対象不動産の時価)を求めます。

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必要諸経費(公租公課等)を求めます。

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継続賃料利回りを求めます。

※継続賃料利回りは、現在支払っている賃料(現行賃料)を定めた時点(現行賃料に合意した時点)における基礎価格(対象不動産の時価)に対する純賃料の割合です。

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基礎価格に継続賃料利回りを乗じ、必要諸経費を加えます。

(基礎価格×継続賃料利回り)+必要諸経費

利回り法の特徴

利回り法は、現行賃料を定めた時点における元本(基礎価格≒対象不動産の時価)と果実(純賃料)の相関関係を重視した継続賃料利回りを乗じて求めることから、当事者が過去に取り決めた当該関係を尊重したうえで、新しい経済社会環境にふさわしい賃料を試算することを目的としています。
ただ、契約締結時の経緯を継続賃料利回りに適切に反映させることが困難であり、やや説得力の劣る手法です。

【スライド法】

現在支払っている賃料(現行賃料)を定めた時点(現行賃料に合意した時点)
における純賃料を求めます。

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現行賃料を定めた時点から現在までの間における経済情勢等の変化に
即応する変動率(スライド指数)を求めます。

※経済情勢等の変化に即応する変動率とは、よく用いられるのが、総務省統計局で作成されている消費者物価指数や日本銀行調査統計局で作成されている企業向けサービス価格指数などがあります。このほか、対象不動産の内容に即した多数の指数を収集します。

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純賃料に変動率(スライド指数)を乗じ、必要諸経費を加えます。

{現行賃料×変動率(スライド指数)}+必要諸経費

スライド法の特徴

現行賃料を定めた時点における実際に支払っている賃料と物価変動等を示す各種指数等による変動率を基礎とする手法です。
変動率(スライド率)の査定にあたっては、対象不動産の用途や契約内容の個別性等が反映されるように留意する必要がありますが、客観的な経済情勢の変化を反映している点で説得力を有します。

【賃貸事例比較法】

多数の継続賃料事例を収集します。

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収集した賃貸事例に事情補正、時点修正、地域要因の比較、個別的要因の比較などの各種補正を行います。

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各賃貸事例により求められた賃料を、比較衡量し継続賃料を求めます。

賃貸事例比較法の特徴

継続に係る賃貸事例を多数、収集、選択し、各事例の継続に係る実際実質賃料から対象不動産の継続賃料を求める手法です。
賃貸市場が成熟している地域においては、多数の継続に係る賃貸借の事例を収集することが可能であることから、客観的かつ実証的な手法として説得力を有する。
一方で、賃貸市場が成熟していない地域である場合には、継続に係る賃貸事例の収集自体が困難であることから、適用できない場合があります。

これらの各手法の特徴を踏まえて、対象不動産の継続賃料を決定します。
継続賃料は鑑定評価の内容が非常に複雑であり、一つ一つを理解していないと、判断は難しいと思われます。

なつみ不動産鑑定では、継続賃料に係るお悩みにも、わかりやすく、丁寧にお答えいたします。賃料でお悩みのときは、ぜひお気軽にご相談ください。

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