息子への事業承継失敗のケース|相続失敗例その1 | 堺市大阪・なつみ不動産鑑定。相続・贈与・遺産分割での不動産評価なら | 堺市大阪・なつみ不動産鑑定。相続・贈与・遺産分割での不動産評価なら
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息子への事業承継失敗のケース|相続失敗例その1

相続 失敗例 自営業

皆さんは相続のことでお悩みではないですか?

相続は一度対応を間違えてしまうと、とんでもない問題に発展してしまうことが多く、対応に細やかな注意が必要です。

そのうえ様々な知識が必要となるので、誰に何を聞けばいいのか、専門家に相談しようにもどの専門家に聞けばいいのかわからない。といった複雑な問題が多いですね。

今回は、皆さんが陥りがちな失敗例をご紹介したいと思います。

 

仲が良くてもあり得る話。陥りがちな相続の失敗例

Aさん(父)、Bさん(母)、長男(結婚し両親と同居)、次男(結婚して東京に居住)、長女(結婚して実家の近くで借家住まい)

【資産】貯金1,500万円、自宅兼店舗(土地と建物30坪程度)、

Aさんは、商店街で飲食店を営んでいました。
従業員は雇っておらず、お店はBさんと長男が手伝っていました。

長男は、Aさんの跡を継ぐつもりで調理師学校を卒業し、頑張ってお店を手伝っていました。

長男には奥さんとお子様が二人いました。
奥さんも、子育てをしながら、時々お店を手伝っておられました。

Aさんは相続について、特に何も準備はしていませんでした。

兄妹も仲が良く、長男がお店を継ぐことに誰も反対しませんでしたし、むしろ兄妹は長男に感謝していたからです。

おまけにそんなたいした資産もないし、うちには関係ないと思っていたのです。

そんなときに、Aさんがお亡くなりになりました。

ご家族は意気消沈しましたが、長男がお店を盛り立てて、必死で頑張ったため、何とかお店は持ち直し、Aさんがいなくてもお店をやっていけるようになりました。

そうしてAさんが亡くなってから半年ほど過ぎた日に、やっと少し時間ができたので、みんなで遺産分割の話し合いをすることになりました。

このような状況の中で、遺産分割協議が始まりました。

長男は、

「貯金の1,500万円の半分は母に、残りを250万円ずつ3人でわけよう。店舗と自宅は僕がお店をしているから僕がもらうよ」

と言いました。

その一言に、次男と長女が口をそろえて言いました。

「どうしてお兄ちゃんがそんなに多いの?不公平だ!」

ここから泥沼の争いが始まったのです・・・。

これはいったいどうしてなのでしょうか?

長男はずっとお店を切り盛りし、ご両親と同居し、ご両親を支えてこられました。

しかし、兄妹二人はそれとこれは別だと考えているようです。

 

住んでいる家も営んでいるお店も全ては『分割すべき遺産』

相続 兄弟でもめる 自営業

 

相続は両親と同居している、していないは関係なく、相続分は兄妹全員等しく平等です。

また、ご両親の面倒をみている、お世話や介護をしているといった場合、寄与分を認められることもあるのですが、なかなかハードルが高く、認められるケースは僅かです。

また、商店街の中にあるその店舗兼自宅は、駅前にあり、立地も良く、利便性のよいところにありました。

建物は築後30年以上経っていましたが、土地はなかなかの高値がつくと、兄妹は知っていたのです。
店舗兼自宅の30坪ほどの土地と建物で3,000万円ほどの価値がありました。

そこで、

次男「店舗兼自宅は3,000万円だから、貯金1,500万円と合わせて4,500万円になるよね。じゃあこれを母に2,250万円、残りを750万円ずつ分けるのがいいと思うよ」

長男「えええ!でもそんなに現金がないのに、どうやって分ければいいんだよ」

長女「じゃあ店舗兼自宅を売ればいいんじゃない?」

長男「・・・・」

このときは、同居しているBさん(母)が見かねて、貯金の1,500万円を750万円ずつ次男と長女に支払うことで落ち着きました。

とりあえず長男は店舗兼自宅を母と自分の共有名義にし、相続の問題はこれでいったん収まりました。

 

しかし、悲劇は続きました。

Aさんが亡くなられた翌年にBさん(母)も亡くなられたのです。

長男は本当に落ち込みました。

それでも、ご両親から受け継いだお店を守ろうと、必死になって働いていたのです。

それでも遺産分割協議は必要です。

Aさん(父)の次はBさん(母)の遺産分割協議です。

しかも一番もめるのが、この「二次相続」のときなのです。

二次相続がもめる話は過去にもお伝えしました。

(参考)不動産の遺産相続でモメないために|親から子供への家屋・土地相続はなぜ紛争になるか?

 

今度ばかりはまとめてくれるBさん(母)がいません。

兄妹だけで乗り越えなければならないのです。

 

長男「お母さんの財産は貯金が600万円しかないので、これを3人で分けることになるよ」

次男「そんなことないよ、お父さんからもらった店舗兼自宅にお母さんの分の名義もあったよね?3,000万円の半分だから1,500万円になるよね?」

長女「そうね。それと貯金600万円を合わせて2,100万円を3人で分けるのだから、1人700万円ずつね」

長男「またか!そんなお金なんてないよ!払えない!」

次男&長女「じゃあお店を売ればいいんじゃない?」

長男「・・・・」

次男&長女「だいたい前にお父さんの相続の時も、お兄ちゃんだけ1,500万円分も相続したじゃない!!お兄ちゃんだけずるい!」

今回のケースでは、Aさんがお亡くなりになられた一次相続のときも、Bさんが亡くなられた二次相続の時も相続税については基礎控除の枠内に収まっているので、非課税です。

 

一次相続
3,000万円+(600万円×相続人の数4人)=5,400万円

二次相続
3,000万円+(600万円×相続人の数3人)=4,800万円

 

皆さんは相続対策と聞くと「相続税」を安くするための税金対策を思い浮かべられるのではないでしょうか?

「私はそんなに財産がないから大丈夫」と思っておられる方も多いと思います。

しかし、実際に相続でもめるのはそれほど大きな金額ではないのです。

ここに落とし穴があります。

相続対策は税金対策ではありません。納税対策、分割対策が重要なのです。

今回のケースでは非課税枠におさまるので、分割対策が重要でした。

分割対策は、被相続人の方が生きておられるときにしかできません!

亡くなった後では何もできないのです。

先ほどのAさんご家族は、長男が結局店舗兼自宅を売ってしまうことになりました。

Aさんが何も対策をとられていなかったために、お子様はばらばらになってしまい、また、築き上げられた大切なお店も無くなってしまったのです。

非常に残念です。

しかし、こういったケースはとても多くみられます。

不動産の分割は難しく、現金がない場合は売却せざるをえない。
ということになります。

 

まとめ

相続 失敗しないようにするには

では、今回の場合、どのような対策ができたでしょうか?

 

①Aさんが遺言を用意しておく。

・お店と土地は長男に相続させる。

・次男と長女には遺留分の375万円(本来の相続分の1/2)ずつを相続できるようにしておく。

・Bさん(母)には750万円を相続させる。

これでOKです。

 

たったこれだけのことでお店を手放す悲劇はなくなります。

次にAさんのときに遺言を用意できなったので、

 

②Aさんが亡くなった後、Bさんが遺言を用意しておく。

・お店と土地は長男に相続させる。

・次男と長女には遺留分の350万円(本来の相続分の1/2)を相続させる。

・足りない分の100万円は何とか長男が用意しておく。

・Bさんが保険に加入できるなら、不足分の100万円を保険で補う。

 

こういった準備をしておくだけで、何の問題もなかったのです。

皆さんも、ぜひ一度、ご自身の資産についてお考えになられてはいかがでしょうか?

資産の金額の如何に関わらず、相続問題は発生します。

遺されたご家族のために、一度見直してみるのがよいと思います。

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