相続税対策の賃貸アパート建築は本当に有効なのか?|相続の失敗例 その2(前編) | 堺市大阪・なつみ不動産鑑定。相続・贈与・遺産分割での不動産評価なら

相続税対策の賃貸アパート建築は本当に有効なのか?|相続の失敗例 その2(前編)

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皆さん こんにちは。

皆さんは相続のことでお悩みではないですか?

最近は相続税対策と称して様々なプランが紹介されていますが、節税を考えるあまりに間違った相続税対策をしてしまい、結局節税にならなかった・・・ということもあります。

相続税について正しく理解し、間違った対策をしてしまわないよう、気を付けましょう!

今回は相続税対策としてよく活用される、賃貸アパートの建築について、その失敗例をご紹介したいと思います。

 

モデルケース

Aさん(父)、Bさん(母)、長男、次男

【資産】貯金5,000万円、自宅(土地&建物7,000万円)、駐車場(土地7,000万円)、田(500万円)、畑(500万円)

 

Aさん所有の資産は、上記の合計で20,000万円になります。

 相続人は配偶者であるBさんと子2人なので、相続税の基礎控除額は

 3,000万円+(600万円×相続人の数3人)=4,800万円

となり、15,200万円に対して相続税が課せられます。

※なお、ここでは、小規模宅地の特例や生命保険控除等のその他の税額控除は考えないものとします。

 

Aさんの相続税額の計算

相続税額の計算は、一旦、法定相続分で分割したものと仮定して相続税の総額を計算します。

Bさん: 20,000万円 × 1/2 = 10,000万円

長男:  20,000万円 × 1/2 × 1/2 = 5,000万円

次男:  20,000万円 × 1/2 × 1/2 = 5,000万円

 

Bさん: 10,000万円 × 30% - (控除額700万円) = 2,300万円→配偶者控除により0円

長男: 5,000万円 × 20% - (控除額200万円) = 800万円

次男: 5,000万円 × 20% - (控除額200万円) = 800万円

 

BさんはAさんの配偶者なので、配偶者控除(16,000万円)が使えます。

なので、Bさんの相続財産が16,000万円以下であれば、相続税は課せられません。

 

【相続税の速算表】

法定相続分に応ずる取得金額

税率

控除額

1,000万円以下

10%

3,000万円以下

15%

50万円

5,000万円以下

20%

200万円

1億円以下

30%

700万円

2億円以下

40%

1,700万円

3億円以下

45%

2,700万円

6億円以下

50%

4,200万円

6億円超

55%

7,200万円

 

ということで、相続税の総額は1,600万円となります。

この金額、ちょっと驚きですよね。

Aさん家族も、「そんなにかかるの?!」

とびっくりしてしまい、さっそく相続税対策に乗り出しました。

 

Aさんの相続税対策

Aさんが行った相続税対策は、駐車場である土地にアパートを建築し、その建築費の負債額で相続財産の総額を圧縮してしまおう。といったものでした。

この方法が、皆さんも最近よく耳にする相続税対策の代表的な手法です。

 

どうして駐車場(土地)の上にアパートを建築すれば相続財産が減るのでしょうか?

 

相続税評価額が減額される

更地の場合の土地の評価額に対して、貸家建付地の評価額は

駐車場(土地)7,000万円×(1-60%×30%)=5,740万円

となり、18%の評価減が可能となります。

※借地権割合60%、借家権割合30%と仮定する。

 

建築したアパート(建物)の評価額も減額される

賃貸アパートの評価額は、借家権割合が控除されるので、

建築費:10,000万円

建物固定資産税評価額:10,000万円×60%=6,000万円

賃貸マンションの評価額:6,000万円×(1-30%)=4,200万円

となります。

 

この賃貸アパートと土地の相続財産の評価額は

5,740万円+4,200万円=9,940万円

となります。

ここで建築費10,000万円全額を借入したとすると、さらに評価額が下がります。

 

借金すると相続財産が減る?!

7,000万円の駐車場(土地)に10,000万円の賃貸マンションを建築し、その全額を借入した場合の相続財産の総額を見てみましょう。

 

賃貸アパート建築で相続税が減額されるからくりとは?!

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相続税対策後の評価額

Aさんの資産は、

貯金5,000万円、自宅(土地&建物7,000万円)、駐車場であった土地(土地&賃貸アパート9,940万円)、田(500万円)、畑(500万円)

 

総額は22,940万円となり、賃貸アパートを建築する前の20,000万円よりも増えました。

しかし、賃貸アパート建築のために10,000万円の借入を行っていることから、この借入金を相続税財産の総額から控除することができるのです。

 

すなわち、相続財産総額は

22,940万円(相続財産総額)-10,000万円(借入金)=12,940万円

となります。

 

そうすると、相続税総額は

Bさん: 12,940万円 × 1/2 = 6,470万円

長男:  12,940万円 × 1/2 × 1/2 = 3,235万円

次男:  12,940万円 × 1/2 × 1/2 = 3,235万円

 

 

Bさん: 6,470万円 × 30% - (控除額700万円) = 1,241万円→配偶者控除により0円

長男: 3,235万円 × 20% - (控除額200万円) = 447万円

次男: 3,235万円 × 20% - (控除額200万円) = 447万円

 

となりますので、相続税の総額は、894万円になりました!

賃貸アパート建築前は1,600万円でしたので、およそ700万円もお得になったということです。

Aさん家族は大満足で、よかったよかったと胸をなでおろしていました。

しかし・・・。

問題はここからなのです。

 

賃貸アパート経営は不動産のプロであっても難しい!

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駐車場経営と異なり、アパート経営は、経験のない一般の方々には非常に難しく、新築のときには満室となることもあるかもしれませんが、築年数が経つにつれ、稼働率が低下していくのが通常です。

稼働率を上げるためには、貸室をキレイに保ち、設備を入替え、経営にかなりの費用が掛かります。

また、そういう面倒なことは、「管理会社に丸投げ!」という方も多いかと思いますが、そうなると管理費は通常高額になってきます。

 

「家賃一括借り上げ!10年保証!」とうたっている管理会社も多いのですが、10年経たない年数であっても、稼働率が悪くなるにつれ、家賃の減額請求を突き付けられることも多いのです。

数々の賃貸アパートの収支計画を見てきましたが、本来必要とされる費用が計上されていなかったり、新築時の家賃のまま10年間継続すると想定されているプランであったり、ずさんな収支計画も多くあります。

賃貸アパート経営の特別な知識を持たない一般の方々は、このような収支計画を見ても、おそらく、おかしいな?と気づかないと思われます。

キレイに作成されたパンフレットや夢のような計画を見て、「これはいい!」と飛びついてしまう人がほとんどだと思います。

 

この相続税対策の落とし穴は、

借り入れをしないと相続税減額の効果が薄い。

ということにあります。

しかし、借り入れは負債です。

10,000万円の負債を負うということになります。

この負担がのちのち大きく響いてくることになります。

 

いかがでしょうか?

次回は、この賃貸アパートを建築したAさん家族のその後をご紹介したいと思います。

皆さんも、ぜひ一度、ご自身の資産についてお考えになられてはいかがでしょうか?

資産の金額の如何に関わらず、相続問題は発生します。

遺されたご家族のために、一度見直してみるのがよいと思います。

 

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