アパート経営の知識不足が招く相続税対策の失敗|相続の失敗例 その2(後編) | 堺市大阪・なつみ不動産鑑定。相続・贈与・遺産分割での不動産評価なら

アパート経営の知識不足が招く相続税対策の失敗|相続の失敗例 その2(後編)

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皆さん こんにちは。

今回は、皆さんが陥りがちな、前回ご紹介した相続対策の失敗例の後編をお伝えしたいと思います。

 

モデルケース

Aさん(父)、Bさん(母)、長男、次男

【資産】貯金5,000万円、自宅(土地&建物7,000万円)、駐車場(土地7,000万円)、田(500万円)、畑(500万円)

 

Aさん家族が行った賃貸アパート建築による相続税対策は功を奏して、以下の通り相続税を減額することに成功しました。

 

相続税対策後の評価額

Aさんの資産は、

貯金5,000万円、自宅(土地&建物7,000万円)、駐車場であった土地(土地&賃貸アパート9,940万円)、田(500万円)、畑(500万円)

 

相続財産総額

22,940万円(相続財産総額)-10,000万円(借入金)=12,940万円

となり、相続税の総額は、894万円になりました!

賃貸アパート建築前は1,600万円でしたので、およそ700万円もお得になったのです。

 

では、この後、Aさん家族に何が起こったのでしょうか?

 

問題は賃貸アパートの経営

賃貸アパート経営は不動産のプロであっても難しく、一般の方々には一筋縄ではいきません。

新築時は満室稼働であっても、築後何年かすれば設備は古くなり、見劣りがします。

そうなると空室が増えてきて、家賃を下げざるを得なくなります。

家賃を下げると、借入金の返済が危うくなることも考えられるのです。

 

 

Aさんの場合

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初年度は新築で満室稼働していました。

しかし、3年ほど経過したころから、入居者の入れ替わりが始まり、5年ほど経過すると空室が発生するようになりました。

 

賃貸経営は一括管理会社に任せていたので、空室のこともあまり気にしていませんでした。

そうすると、管理会社から電話が入りました。

 

「だいぶんと空室が増えてきましたし、家賃を下げざるを得ないので、一括借り上げの家賃を引き下げたいと思います。」

 

Aさんはびっくりしました。

「え? 家賃は一括借り上げで30年間保証してくれるんじゃなかったの?」

 

「いえいえ。こちらのプランについては、当初の〇年間、一括借り上げの家賃は一定額をお支払いしますが、一定期間を超えると家賃の見直しがございます。」

 

「ええええ~!でも家賃が下がることはほとんどないって言ってたじゃないか?!」

 

何をどう言っても実際の家賃が下がりつつあるので、聞いてもらえず、結局一括借り上げの家賃収入も減額されることになりました。

 

そうなのです。

ここがポイントです。

家賃保証とされている契約のほとんどが2年~5年くらいで家賃の見直しがあるのです。

これを「家賃の改定」と言います。

家賃の改定は違法なことではありません。

 

それでも、

「え? 家賃って保証されているのではないの?」

 

と皆さんは思われるかもしれませんが、賃貸借契約をされたことのある方は、契約書をよく読んでみてください。

ごくごく一般的なマンションの賃貸借契約書にも必ず書かれてあります。

 

 

家賃の改定は重要なポイント

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不動産に関わるものとしては、家賃改定の可能性はもっとも重要なポイントで、不動産鑑定士が不動産を鑑定評価する時も必ずチェックします。

とってもとっても大切な条件なのです。

 

また、契約内容によっては、

「一括借り上げの家賃を下げてもらわないと契約は維持できません。」

「これらの条件を受け入れないなら、契約解除になります。」

といった厳しい条件が付されている場合もあります。

 

そうこうしているうちに、アパートは築後10年を超え、外壁や内装に傷みが目立つようになってきました。

また、空調などの設備にも、入居者からクレームが出てくるようになってきました。

 

すると、またもや管理会社から

「こちらの空室の全面リニューアルをご提案いたします。」

「つきましては、その費用300万円のご負担をお願いいたします。」

管理会社からは、これらの費用を負担できないなら、空室を埋めることも、このままの家賃を維持することも難しいので、さらに一括借り上げの家賃を減額すると通知されました。

 

賃貸アパートはメンテナンス費用も必要

 

「えええええ~!? そんな費用も必要なの?」

Aさんはほとほと困り果てましたが、一括借り上げの家賃を、また減額されると大変なので、しかたなく300万円を支払いました。

 

いかがでしょうか?

相続税を安くするために賃貸アパートを建築しましたが、様々な出費がふくれあがり、普通に相続税を支払った方が良かった・・・。

というようなケースは、たくさんあります。

 

Aさんは、この後、度重なる一括借り上げ家賃の減額と、管理費や修繕費が嵩み、借入金を支払うことができなくなりました。

借入金が支払えないということは、担保として差し出している建築したアパートや、その敷地である土地をも失うということです。

 

 

賃貸アパートの建築による相続税対策の落とし穴は、

賃貸アパート経営の知識の不足

にあります。

 

私は不動産鑑定士として様々な不動産投資のプロの方々と接してきました。

不動産投資を仕事にしているプロの方々でさえも、不動産経営は難しいのです。

 

相続税を減額することばかりにとらわれてしまうと、本当に必要な相続対策に目が行かなくなってしまいます。

Aさんのように、相続税を安くすることだけにとらわれて、大切な不動産を失ってしまわないために、しっかりとした知識を身に付けましょう。

 

皆さんも、ぜひ一度、ご自身の資産についてお考えになられてはいかがでしょうか?

資産の金額の如何に関わらず、相続問題は発生します。

遺されたご家族のために、一度考えてみるのがよいと思います。

 

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